「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第68回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
今日のクイズ
日経平均インデックスファンドに投資して資産形成をしようと思っています。選択肢として、以下三つのファンド(投資信託)があります。どれを選んだら良いでしょう? A、B、Cからどれか一つ選んでください。なお、三つのファンドはどれも販売手数料は無料です。
日経平均インデックスファンドの基準価額(イメージ図)

日経平均インデックスファンドとは?いくらから買える?ノーロードとは?
【1】日経平均インデックスファンドとは?
日経平均株価に連動した運用成果をあげることを目指すファンド(投資信託など)のことです。
【2】投資信託はいくらから買える?
投資信託は1口=1円が多く、基準価額は1万口の値段として公表されます。新しくファンドが設定される時は、基準価額1万円から始まります。
投信の売買単位は、昔は1万口以上1口単位だったので、購入するのに最低でも1万円くらい必要でした。ところが最近は、1,000口以上1口単位や、100口以上1口単位で購入できるサービスも出てきています。そのため、100円や1,000円から購入できる場合もあります。
【3】ノーロードとは?
投資信託に投資する時の手数料として、販売手数料と信託報酬(管理費用)があります。近年は販売手数料が無料のファンドが増えてきました。この「販売手数料が無料」のことを「ノーロード」と言います。
設問に出ている日経平均インデックスファンドは、どれも販売手数料が無料のノーロード型です。AとCはファンド名に「ノーロード」と入っているので、明らかにノーロードです。Bはファンド名にノーロードとは入っていませんが、これもノーロードです。
投資信託の注文の出し方
原則、オープン投信では毎営業日に基準価額が計算され、その価額で投信を購入または解約(換金)することができます。基準価額は決められたルールに基づき、1日に1回だけ組み入れている有価証券の最終価格を反映して計算します。組み入れている有価証券が値上がりすれば基準価額が上昇、値下がりすれば基準価額が下落する要因となります。
投信を購入または解約(換金)するためには、証券会社や銀行、郵便局に口座を開設して注文を出す必要があります。通常は15時30分までしか当日の注文は出せませんが、15時20分まで、あるいは15時までとなっているファンドもあります。
また、当日の基準価額がいくらになるか分からないうちに注文を出さなければなりません。15時30分を過ぎると、投信運用会社の経理部で一斉に基準価額の計算を始めます。夕方から夜にかけて基準価額の計算をして対外発表をします。当日の15時30分までに受け付けられた購入・解約の注文は、その価額で執行されます。
みんな日経平均インデックスファンドなのに、なぜ基準価額が違う?
投資信託は全て1万円から始まります。ファンドがスタートした時期が異なるために、現存するファンドの基準価額はばらばらです。
Bは日経平均が一番低い時に始まったので、基準価額が一番高くなっています。Cは日経平均が高くなってから始まったので、基準価額が一番低くなっています。
分配金をたくさん支払うファンドは、分配金を出すことで基準価額が低くなります。日経平均インデックスファンドには分配金をたくさん出すファンドはほとんどありません。
投資信託の管理費用とは?
投資信託からは、信託報酬といわれる管理費用が差し引かれます。管理費用は年率で表示されています。Aファンドだと1年で時価の0.44%、Bファンドだと1年で時価の0.187%、Cファンドだと1年で時価の0.154%が信託報酬としてファンドから差し引かれます。
正解は…
Bファンドを買うべきです。
Aファンドは管理費用が0.44%と一番高いので長期投資には向きません。
BファンドとCファンドは管理費用が0.187%と0.154%と低くて良いのですが、Cファンドは純資産が8億円しかないのでやめた方が良いと思います。
Bファンドは純資産が2,007億円あって運用が安定することが期待されるので、長期投資する場合はBファンドを選んだ方が良いと思います。
投資信託の「見えないコスト」とは
純資産額が小さすぎるインデックスファンドは、日経平均への連動性が良くない場合があります。日経平均より低いパフォーマンスとなる可能性があるということです。
投資信託には、売買手数料や信託報酬のように目論見書にきちんと掲載されている「見えるコスト」の他に、「見えないコスト」もかかります。
「見えないコスト」とは、新規設定や解約の際に、担当ファンドマネージャーがファンドで運用資産を買い増ししたり、売却したりする時にかかるコスト(マーケット・インパクト・コストなど)のことです。
小さなファンドで大きな設定や解約があると、マーケット・インパクト・コストが大きくなることがあります。急いで買いに行く時に高値で買わざるを得ず、急いで売りに行く時に安値で売らざるを得なくなることがあるからです。
純資産が10億円以下の小さいファンドは、マーケット・インパクト・コストが大きくなる可能性があるので避けた方が無難ということです。純資産が小さいファンドが全てダメというわけではありません。小さいファンドほど見えないコストが大きくなる可能性があるので、避けた方が無難だと言っているだけです。
個別銘柄投資にチャレンジしたい方へ
最後に、個別銘柄投資にチャレンジしたい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」
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