CLOSE
人気記事ランキングから探す
CLOSE
人気のテーマから探す
最新!株主優待NEWS
はじめての波乱相場どうすれば?
利回り3%以上を狙う!高配当株の選び方
米国株の選び方
トウシル編集部オススメのテーマから探す
新しいあなた 新しいNISA
本気の節税ならiDeCo!
インフレ・円安、大丈夫?お金の筋トレ大作戦
投資のヒントがいっぱい!個人投資家インタビュー
波乱相場どうすれば?

米国株相場 潮目の変化を知らせる三つの「ベル」

NEW 2025/5/9

米国株相場は、4月上中旬のリスクオフの底から反発しています。向こう1~2カ月は心理とテクニカル、3~6カ月は景気悪化というファンダメンタルズ、6~12カ月では政策によって、異なる相場展開をベースシナリオにしています。3段階それぞれの変化を示唆するベルの音色と投資対応とは…。

目次
  1. 相場の変わり目を知らせるベル
  2. 最初のベル<1~2カ月>心理とテクニカル
  3. 第2のベル<3~6カ月>ファンダメンタルズとFRB
  4. 3度目のベル<6~12カ月>トランプ・プット
  5. 短期・中期のベルと投資の構え

写真:Witthaya Prasongsin/Getty Images

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の田中 泰輔が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【米国株】リスクのベルは3度鳴る

サマリー

●米株相場には今後1~2カ月、3~6カ月、6~12カ月で異なる投資目線
●1~2カ月では、ファンダメンタルズの逆風前に、心理とテクニカルが主導する高下を想定
●3~6カ月では、景気悪化による逆業績相場のリスク。しかし時間差でFRBプット発動へ
●6~12カ月では、トランプ・プット(減税と規制緩和)の後押しも期待

相場の変わり目を知らせるベル

 2025年の米国株相場は厳しい試練にさらされています。このような苦境を予言のように言い当てる技術は存在しません。しかし、注意深く観察すれば、相場の変わり目には、リスクを知らせるベル(=兆し)があります。当レポートでは、今後のベルを3段階で考えます。

 2025年から2026年は、トランプ米政権の傍若無人な政策次第という状況が続きそうです。この異常な不確実性の下では、投資家は合理的判断が困難になり、心理とテクニカルに振らされがちでしょう。中期では、景気と物価の動向を確認し、政策対応を探っていくことになります。

 要約すれば、(1)短期は心理とテクニカルとイベントの巡り合わせ、(2)中長期はファンダメンタルズの変化、そして(3)政策対応、の3段階のベルに感覚を研ぎ澄ませます。筆者は、一貫したロジックを保つことで視座を定め、相場の変わり目のベルを聞き漏らさないよう細心の注意を払っています。

 今回も視座をぶらさない同じロジックでの解説です。最新情勢に沿って、筆者の見方をアップデートします。

最初のベル<1~2カ月>心理とテクニカル

 4月の下旬からの相場の反発(図1)は、専ら投資家の心理とテクニカルの状況と政策イベントの巡り合わせだけで想定しました。景気・物価などファンダメンタルズの変化がまだ現れないうちは、この心理とテクニカルとイベントで読むことになるとみています。

 相場の下落は2カ月にも及び、無謀なトランプ関税の公表からも2~3週間が経過していました。米市場が一時、株、国債、ドルのトリプル安になった場面で、トランプ政権が市場への配慮を見せ始め、売り手と買い手の勢力バランスを逆転させるベルが微妙に鳴りました。

 相場は、事後的に振り返れば、あそこが買い場だった、売り場だった、と簡単に思えるものです。しかし、現実には、足場の悪い霧の山道を運転するような心持ちで、いつ滑落するかと冷や冷やしながら臨むことになります。心理とテクニカルが主導する相場は、ファンダメンタルズの具体的な支援もないために、勢いが鈍るだけで容易に急反落に転じやすいのです。

 このため、銘柄選定に当たっては、テーマ性、業績が明快で、いざ相場が上向くと、多くの投資家が買い遅れ焦燥を感じそうな銘柄を慎重に選びます。その上で、最大損失リスクを計算して、控えめなポジション量に抑え、速い相場における利益確定水準メドを念頭に、機動戦として構えるのです。

 5月、さらには6月でも、経済指標は悪化の一方ではなく、相場は中期的な方向感を抱きにくいかもしれないとみています。4月中には、相場下落の後講釈として、景気後退必至のような解説が目立ちました。しかし、高関税導入前後の需要の振れ、企業の様子見スタンスから、必ずしも数字が下振れない場面があり得ると判断しています。

 5~6月に、景気指標の悪化という逆風が見えないことで、株式市場は下落リスクが抑えられるかもしれません。そして、心理とテクニカルが主導しやすい相場は、ファンダメンタルズからの逆風が限られる猶予期間に、相場が保ち合って値固めになれば、上値を試すムードも折々に出てくるでしょう。

 向こう1~2カ月に、買い目線をどう維持できるかは、景気後退不安を呼ばない程度の景気指標、市場の投資ポジションに映る心理とテクニカル動意という、移ろいやすいベルの音色に感度を研ぎ澄ますことになります。

第2のベル<3~6カ月>ファンダメンタルズとFRB

 トランプ政権の相互関税が猶予されるディール期間は7月上旬までです。おそらくは、ディールで目ぼしい合意を得られない国に対して、不満を募らせるトランプ大統領は、あれこれ無謀なルール変更を持ち出すかもしれません。

 また、心理とテクニカルのリズムだけにけん引される株式相場は上値追いが難しくなってくる頃合いにもなるでしょう。そして何よりも、景気悪化とインフレ上昇というファンダメンタルズのリスクも、次第に顕在化してくるとみています(図1)。

 向こう3~6カ月には、ファンダメンタルズ面からリスクのベルが大きく鳴り響くかもしれないと、警戒目線でいます。不安心理と相場下落が相乗的に作用し、実際の経済指標の悪化が追い打ちをかける展開、いわゆる逆業績相場の様相になっていくという見立てです。

 景気悪化で相場下落となれば、不安も募るでしょう。しかし、米国は、ファンダメンタルズの悪化には、まずFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げなど金融緩和政策によって果敢に立ち向かいます(図2)。

 関税インフレが高じている場合、FRBは雇用の下支えか、インフレ抑制かの選択を迫られ、果たして利下げできるのかという疑問もあるでしょう。現実の判断は実際のデータを見ないと何とも言えません。しかし、筆者は、インフレに一過性の目があるなら、景気・雇用支援を優先する可能性を見ています。

3度目のベル<6~12カ月>トランプ・プット

 逆業績相場で相場が下落した後、利下げが進むと、次には不況下の株高という、いわゆる金融相場に移行する目が出てきます。つまり、3~6カ月期には、景気指標の悪化というベルが鳴るのと時間差で、FRBプット(利下げなど金融緩和)のベルが明るく鳴り始めると期待されます。

 さらに、6~12カ月になると、トランプ・プット(減税や規制緩和)による相場サポートも出てくるとみています。トランプ大統領は何をするか分からないという不安もあるでしょう。しかし、公約した政策を強引に進めるには、2026年11月の中間選挙で、共和党が上下院の過半数を獲得することが必須です。

 選挙に向けて景況・市況を改善させようという政策配分は、過去の政権も行ってきたことです。トランプ大統領は、政権発足の2025年にまず、痛みを伴う関税を行使して、国際秩序を(彼が思う)米国有利に変えるつもりでしょう。2026年には、それを自らの実績として強調し、減税、規制緩和で経済・市場の心理を高揚させる腹積もりとみています。

短期・中期のベルと投資の構え

 心理とテクニカルの短期ベルは、3~6カ月目も、6~12カ月目も、常に短期のベルとして音色を変えて鳴り続けるものです。中長期でファンダメンタルズの変化のベルを追いながら、政策対応のベルを想定するのも、終わることのない相場の取り組みです。

 しかし、無謀なトランプ関税による人災相場が、心理とテクニカルの面で相場をかく乱し、経済・物価のファンダメンタルズを脅かし、いざ悪化すれば、果敢な政策対応もあり得るというのが2025~2026年のベースシナリオです。3段階それぞれのシグナルが、メリハリをつけてベルを鳴り響かせる展開をイメージしています。

 短期的に、心理とテクニカルが主導する相場が続く以上、機動戦を覚悟で取り組むか、中長期の政策プットを踏まえて、足元のかく乱展開には鈍感力で臨むか、自身の投資スタイルに対応したベルをイメージしてみてください。

図1:米経済サプライズ指数 夏場へ景況悪化か

米経済サプライズ指数 夏場へ景況悪化か
出所:Bloomberg、田中泰輔リサーチ

図2:市場は年内に3回の利下げを織り込み

市場は年内に3回の利下げを織り込み
出所:Bloomberg

■著者・田中泰輔の『逃げて勝つ 投資の鉄則』(日本経済新聞出版刊)が発売中です!

アプリで投資を学ぼう
【ポイントGET】トウシルアプリにポイントミッション機能が付いた!
トウシルの公式アプリに「ポイントミッション機能」を追加しました。
記事を読むなどのミッションクリアで楽天ポイントGET!
お金と投資の学びをもっとおトクに。
facebook twitter メールで送る 印刷
閉じる×
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください米国株相場 潮目の変化を知らせる三つの「ベル」
記事についてのアンケート回答確認

米国株相場 潮目の変化を知らせる三つの「ベル」

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 詳細こちら >>

※リスク・費用・情報提供について >>

関連記事
バックナンバー
トウシルおすすめの記事
アクセスランキング
デイリー週間月間
新着記事
メールマガジン

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

配信:記事配信時 随時
facebookおよびX(Twitter)には一部配信しない記事もあります

HOME TOP
OSZAR »