米中関税の大幅引き下げ合意により、トランプ関税への懸念が後退し、株式市場の恐怖指数も低下しました。日本株市場では、東京証券取引所の要請や買収リスクの高まりから、PBR1倍割れの企業を中心に自社株買いが増加傾向にあります。自社株買いは、発行済み株式数を減らし、1株当たりの利益を増加させる効果が期待されています。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「自社株買いで株価が上がるホントの理由をわかりやすく解説」
米中両国が90日間、関税大幅引き下げで合意
トランプ政権は12日、米中関税交渉で、「90日間、互いに関税を115%引き下げることで合意した」と発表しました。米国が、中国に累計145%の追加関税をかけていますが、これを30%に引き下げます。中国は、米国に125%の追加関税をかけてますが、これを10%に引き下げます。
145%、125%関税で米中貿易が完全に止まり、米国も中国も深刻な景気後退に陥るリスクが懸念されていましたが、回避できるメドがたちました。
90日間の停止なので、その後、高関税が復活するリスクはありますが、米中貿易が止まるほどの関税は無いと考えられます。米中両国とも、米中貿易の重要性を再認識したと考えられるからです。
米中両国が、これだけ早く緊張緩和に動いたことはサプライズで、株式市場における恐怖はさらに低下すると思われます。
投資家の心理の変化は、恐怖指数といわれる指数の動きに表れています。「日本版恐怖指数」といわれる「日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)」は低下し、トランプ関税に対する恐怖が低下したことがわかります。
日経平均と日経平均VI:2024年4月30日~2025年5月12日

米中貿易が完全に止まると、米国の小売店舗から生活必需品が消える「コロナショック時の悪夢の再来」が懸念されていました。米国の製造業も、サプライチェーン分断で、重大なダメージを受ける可能性がありました。米国農業も報復関税で深刻なダメージが予想されました。米国内のトランプ支持者からの陳情が、トランプ関税の暴走を止めたと言えます。
一方、中国でも、米国向け輸出が止まると、製造業の破綻が増えるリスクがありました。米中分断は、米国にとっても中国にとっても、経済的にも政治的にも耐えられないことが、お互いに認識されたと思います。
トランプ大統領は、この先、半導体関連・衣料品・航空機部品などに関税を導入すると表明しており、関税ショックは、この先、何回も蒸し返すでしょう。ただ、かなりはっきりしてきたことは、恐怖のピークは過ぎたと考えられることです。
米中関税大幅引き下げ、トランプ関税の恐怖低下。自社株買いが日本株を上昇させる時代へ(窪田真之)
- 今回のレポートはいかがでしたか?
- コメント
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。 詳細こちら >>